1910年に作曲を開始したが、翌1911年、マーラーの死によって完成させることができなかった。
マーラーの遺稿は5楽章からなり、第3楽章を中心とする対称的な構成として構想されている。
スケルツォ楽章を中心とする5楽章構成はマーラーが好んで用いているが、第10番では第3楽章に「プルガトリオ(煉獄)」と題する短い曲を置き、これを挟む第2楽章と第4楽章にスケルツォ的な音楽が配置されている。
第1楽章は交響曲第9番につづいて緩徐楽章だが、速度はさらに遅く、形式感は薄れてソナタ形式の痕跡はほとんど認められない。
純器楽編成によるが、第3楽章「プルガトリオ」で自作の歌曲集『少年の魔法の角笛』から第5曲「この世の生活」が引用されている。
これを始めとして、第9番や『大地の歌』などを想起させる楽句が随所に現れる。
調性的には交響曲第9番からさらに不確定な印象を与え、無調に迫る部分が見られる。
極度の不協和音が用いられており、第1楽章で1オクターブ12音階中の9音が同時に鳴らされ、トランペットのA音の叫びだけが残るという劇的な部分は、トーン・クラスターに近い手法である。
演奏時間は第1楽章のみの場合約25分。補筆全曲版の場合約85分。
